南京航空航天大学の多電航空機と電気システムの重点実験室、寧波市鎮海銀球軸受有限会社の研究者高起興、王暁琳、顧聡、劉思豪、李定華は、2021年第14期「電工技術学報」に寄稿した。彼らは超高速マイクロ永久磁石モータ(UHSMPMM)が多種物理場特性に制約されている問題に基づいて、超高速マイクロ永久磁石モータ支持システム、電磁(熱)設計、構造強度及び動力学などの面で総合設計研究を行った。
まず、超高速マイクロ永久磁石モータの作動特性とマイクロロータ構造特徴を結合して全体式支持システムとモータ全体構造を設計した。次に、高周波条件下の電磁-損失−温度上昇特性を研究し、特に温度上昇特性が回転子構造強度に与える影響を重点的に分析し、温度場結合に基づくの超高速回転子構造強度の重要なパラメータを最適化する方法を提供した。また、全体支持システムにおける回転子臨界回転速度の影響要素と変化規則を探究した。最後に、多結合特性分析と最適それに対して実験テストを行った。その結果、この試作機は安定した運転を実現し、提案した設計方法の有効性が証明された。
宇宙航空、国防安全、生産生活などの分野における携帯型、高出力密度エネルギー変換装置への需要の急激な上昇に伴い、超高速マイクロモータは現在必要な研究内容と発展方向となっている。一般的に超高速マイクロモータの出力は数十ワットから数キロワットまで、回転速度は10万r/minを超える。回転速度が高く、体積が小さく、エネルギー密度が高いという特徴により、超高速マイクロモーターは現代化ハイエンド設備の特殊な要求に満足することができる。
図1は現在超高速マイクロ永久磁石モータの研究現状と応用分野である。その中、米ペンシルベニア州立大学が設計した100 W-(150000~30000)r/min外回転子フライホイールエネルギー貯蔵装置は宇宙航空分野に使用された。スイス・チューリッヒ連邦理工学院はガスタービンユニットの発電機部分として100 W-500000 r/min超高速永久磁石モータを開発した。英国ダイソン社は最新のV 11 COMPLETE掃除機に125,000 r/minの超高速モーターを装備した。その製品は小さくて軽く、吸引力が強いという特徴を備え、市場で広く認められている。
また、超高速マイクロモータはフライホイールエネルギー貯蔵、医学、高精度研削盤などの分野でまだ大きなポテンシャと将来性がある。例えば医学分野の歯科高速回転ハンドピースの回転速度は一般的に30000~450000 r/minであり、現在までも主に空気タービン駆動を採用しているため、回転速度、トルクを正確に制御することは難しい。空気駆動装置の代わりに超高速電気駆動装置を利用して速度とトルクを正確に制御することを実現すれば、臨床治療効率を大幅に高めることができる。
図1超高速マイクロ永久磁石モータの研究現状
現在、我が国では超高速マイクロモータに対する研究は相対的に少ない。その中、南京航空航天大学が開発した1 kW-13000 r/minの超高速スイッチング磁気抵抗モータと浙江大学が設計した2.3 kW-15000 r/minの永久磁気モータはいずれも実験プラットフォームの構築を完了し、それぞれ13000 r/minと100000 r/minの空負荷運転条件下での実験波形を提供した。広東工業大学は980 W-200000 r/min超高速永久磁石ブラシレス直流モータに対して定回転子構造設計を行い、そして理論的に電磁、損失、回転子強度などのモータ特性を分析した。
理論研究においても工業応用においても、超高速モータ現在の発展は非常に限られており、その原因は主に:超高速モータは極限回転速度と小体積により超高エネルギー密度を備えると同時に、電磁設計、回転子強度、回転子動力学、損失制御、冷却、ベアリング支持など多くの技術難題を直面しなければならない。
そのため、国内外の学者はすでに超高速モータ分野の全面的な研究を展開していた。ある学者は超高速永久磁石モータの機械応力と回転子振動の関係を研究し、そしてシースの厚さ、干渉等級、回転速度が回転子応力に与える影響を分析した。ある学者は磁場分析を通じて磁気ベアリングの回転子への支持が等方性であることを証明し、電磁軸受の線形支持剛性を計算し、それに基づいて磁気軸受高速モータを設計した。ある学者は1.5 kW-150000 r/min永久磁石モータの巻線銅損を深く分析し、磁シールドと導体分割の方法を通じて巻線銅損を効果的に低減した。ある学者は1 kW-28000 r/minモータモデルを例に、異なる冷却方法が超高速モータへの放熱効果への影響を比較し、最後に適切な冷却方案を選択することにより、モータ電力密度を2倍以上高めることができるという計算結果を出した。
超高速マイクロモーターが現在直面している主要な技術的な難点を考えて、南京航空航天大学の科学研究者たちは支持システムの安定性と多種物理場結合特性を考慮した超高速モーターの総合最適化設計法を研究した。
図2多種物理場特性結合関係及び設計プロセス
研究者たちは全体型支持システムを用いた超高速マイクロモータモデルを構築し、合金シースを装備した2極表面貼り型Nd 2 Fe 14 Bの回転子構造と「溝なし-6仮想溝」の固定子構造を設計した。多種物理条件の分析において、設計された試作機の電磁、損失、温度上昇結合特性を研究し、その特性が設計要求に合致することを検証した。温度場の変化に基づいて、0 r/min-22℃、30000 r/min-35℃、550000 r/min-50℃、550000 r/min-80℃の作業状況での回転子強度を校正し、最適化した干渉等級の範囲は8~12μmである。全体型支持構造に対して支持位置、支持剛性が臨界回転速度に与える影響を探究し、支持位置を合理的に選択し、支持剛性設計範囲を判断した。複数の反復設計を経て、多種物理場の需要を満たす総合設計案が得られた。
図3全体型ロータ支持システムの概略図
図4実験試作機とプラットフォーム
最後に科学研究者たちは理論設計に基づいて試作機の加工を実現し、試作機に対して全面的なテストと評価を行った。実験の結果、試作機は550000 r/minの安定した運転を成功させ、この設計の合理性と実行可能性が検証された。
以上の研究成果は2021年第14期「電工技術学報」に発表され、論文のタイトルは「多結合特性に基づく全体支持式超高速マイクロ永久磁石電機設計」であり、著者は高起興、王暁琳などである。
出典:電気新科学技術『南航などの単位科学研究者が全体支持型超高速マイクロ永久磁石電機の研究成果を発表』2021-12-19